気候変動適応、動物生態学、持続可能な開発、防災、デザインなど様々な領域の日本の専門家が集うADAPTMENTのチームは、発起人の太刀川英輔が提唱する適応策の皮膚モデルに共感した環境省が主導するワーキンググループとして2022年に発足しました。気候変動適応のためのデザイン戦略を取りまとめ、持続可能な開発のコンセプトを実践する運動として国際的な発信を行います。
気候変動適応の国際協力を推進する行政官。日本アイ・ビー・エム株式会社の電子回路設計技術者、国際協力機構(JICA)専門家を経て2019年から現職。技術士(電気・電子)。
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岸 由二
慶應義塾大学 名誉教授
流域アプローチによる都市再生に注力し、鶴見川流域などで実践活動を推進する研究者。『利己的な遺伝子』(リチャード・ドーキンス著)の共訳者としても知られる。気候変動で豪雨が増える時代を見据え、災害から身を守るために自分が暮らす「流域」を知る必要があると説く。主著に、『生きのびるための流域思考』(ちくまプリマー新書、2021)。
水産資源管理、海洋保全政策を専門とする研究者。生態系と社会系の相互作用に着目し、海の利用と保全の調和に向けた方策を研究している。また、社会との協働で知識を共創する研究の一環では、「浜の道具箱」を開発。漁業者自身による課題解決を支援するツールを提供した。主著に『日本の海洋保全政策』(東京大学出版会、2020年)など。
開発途上国における気候変動適応に関する国際動向の把握に従事する研究者。2020年3月より地球環境戦略研究機関(IGES)に所属し、気候変動適応に関する政策研究、能力開発事業に携わる。ブータン王国での持続可能な観光開発、民間企業でのマーケティング・商品開発業務経験を持つ。著書に、『ESGがよくわかる本』(秀和システム、2022年)。
江戸時代のサーキュラーエコノミーに再び焦点をあてた研究者。イエール大学で建築を学んだ後に来日し、法隆寺の棟梁を務めた西岡常一に密着した。世界的な市民科学のボランティア・グループ「SAFECAST」に所属し、東日本大震災の際には被災地で活動。主著に、『江戸に学ぶエコ生活術』(CCCメディアハウス、2011)など。
ADAPTMENTのコンセプト提唱者でありプロジェクト代表。未来の希望につながるプロジェクトしかしないデザインストラテジスト。プロダクト、グラフィック、建築などの高い表現力を活かし、領域を横断したデザインで100以上の国際賞を受賞している。生物進化から創造性の本質を学ぶ「進化思考」の提唱者。主なプロジェクトに、東京防災、PANDAID。主著は『進化思考』(海士の風、2021年)。
保全生態学、環境リスク、水産資源学など、幅広いテーマを探求する生態学者。さまざまな環境問題の具体的な解を求めることや、さまざまな生態現象の意外性を解明することを研究姿勢に掲げる。直近の研究に、環境省「気候変動の緩和策と適応策の統合的戦略研究」など。主著に、『環境生態学序説』(共立出版、2000年)など。
里山における人と自然の関係や、地域固有の景観保全をテーマとする研究者。京都周辺、琵琶湖湖岸などの里山を主なフィールドとする。景観生態学に基づく景観計画のほか、生態的な価値と文化的な価値を統合した環境デザインなどの研究を進めている。共著に『Creating Resilient Landscapes in an Era of Climate Change』(Routledge、2022年)など。
文明多様性(周辺文明のグローバル連帯)による近代文明の進化を唱える思想家/研究者。新たな文明史観として、脳機能文明分析を提唱する。行政官と研究者の「回転ドア」のキャリアを歩む。行政官として経済産業省資金協力課長等。研究者としてジョンズホプキンス大学、ケンブリッジ大学等で研究員等。主著に、『文明多様性と近代文明の進化ー脳機能文明分析に向けて』。
開発途上国における気候変動適応を専門とする研究者。2021年7月より地球環境戦略研究機関(IGES)に所属し、気候変動適応に関する政策研究、能力開発事業に携わるほか、国連気候変動枠組条約締約国会議(COP)日本政府代表団において適応に関する交渉支援に従事。共著に『気候安全保障:地球温暖化と自由で開かれたインド太平洋』(東海教育研究所、2021年)。
都市の防災と復興に関する国際的な戦略策定を目指す研究者。学際的な視点に立ち、防災および復興戦略の観点から各国(地域)の特性を分析し、災害発生前後の両面から、現状の問題点と課題を明らかにするための研究に取り組む。主な研究テーマに、都市の脆弱性評価、災害対応のための都市・建築デザインがある。主著に『建築・空間・災害』(コロナ社、2013年)。
防災に関わる新しい概念「フェーズフリー」の提唱者。「備えることは難しい」を前提に、日常時に身のまわりで役立つモノやサービスが、非常時に人々の命や生活を守る「フェーズフリー」を提唱。2018年から鳴門市地域防災計画など自治体施策への採用が始まり、企業によるフェーズフリー認証商品の開発が広がるなど、日本各地で幅広く導入されている。
中井 徳太郎
環境省 顧問
日本製鉄株式会社 顧問
「地域循環共生圏」を日本の環境政策の柱に掲げた元・環境省事務次官。エネルギーや食料を地域の資源からつくり、自立・分散型の社会を目指すコンセプト「地域循環共生圏」を提唱。環境、社会、経済を同時に回し、新しい成長を目指す環境政策を打ち出した。現在は日本製鉄顧問として、同社のサステナビリティー戦略をサポートする。