ADAPTATION MEASURE 023

災害を事前に伝えるセンサーとリスクコミュニケーション

BEFORE

災害直後には、救助される側/する側それぞれの立場で迅速な対応が要求される。現在のような高度情報化が進む以前の救助活動は経験と熟練度に頼らざるを得なかった。

AFTER

被害想定や危険度表示などのリスクを視覚化し、これらをひとりひとりがオンラインで利用できるようにすることで、「公助」に頼らず、個人の情報収集能力(自助)や地域コミュニティ(共助)によって災害時の被害を最小限に抑えられるようになる。

街を皮膚のメタファーに例えた場合、災害の発生予測や速やかな対応のための情報伝達は神経(知覚性)に相当する。災害発生直後の対応時、復旧・復興時、次なる災害に備える平常時など、災害対応の各フェーズに応じて必要とされる情報は姿・形を変えていく。特に、情報の有無が生死に直結するのがハザード(外力としての自然の脅威)到来直後の対応で、災害発生の可能性、避難の必要性、避難路と避難場所の確認などを行うことが不可欠となる。
ハザードの到来を告げる緊急地震速報や平常時の自治体と住民をつなぐリスクコミュニケーション・ツールとしてのハザードマップなどに加え、スマートフォンが普及している近年は数々のアプリも開発されている。

CASE.01

ハザードマップ

1970年

ハザードマップは、地域の地形や街の状況(避難場所、避難経路等)を踏まえ、地域で予期されるハザードの状況を避難場所情報等と共に地図に示したものである。日本では、2001年の改正水防法により浸水想定区域図の作成が義務付けられ、現在では地震、津波、水害など地域に即したハザードマップが作成されている。従来は紙の地図として住民に配布されていたが、インターネットの普及に伴いデジタル化され、さらにスマートフォンの浸透により、インタラクティブなアプリとしても提供されるようになった。災害発生直後に受信して対応することも大切だが、事前に必要な情報を把握しておくことがより重要である。

川崎市川崎区の洪水浸水想定区域を示したハザードマップ(川崎市)

 

Fabio Crameri, 地震ハザードマップ, 2021 – クリエイティブ・コモンズ・ライセンス (表示 – 継承 4.0 国際)

CASE.02

緊急地震速報

2007年

1995年の兵庫県南部地震(阪神・淡路大震災)では9割以上の死因が建物倒壊によるものであった。建物被害の多くを占める古い木造住宅は、揺れの発生から数十秒以内に倒壊する。地震の初期微動(P波)の発生から大きな揺れを引き起こす主要動(S波)の時間差を利用して、可能な限り被害を減らすことを目指して開発されたのが緊急地震速報だ。地震の発生直後に地震波のデータを解析し、震源位置、地震の規模、主要動の到達時刻や震度を予測し、可能な限り素早く知らせる仕組みである。

Credit: ウェザーニュース

CASE.03

特務機関NERV防災アプリ

特務機関NERV防災は、被害が予想される地域の居住者や訪問者等が的確に状況を認識し、迅速な判断・行動が取れるように補助するアプリとして、ゲヒルン株式会社が開発したものである。スマートフォンという21世紀に登場した新たなデバイスにより、災害対応の様々なフェーズにおいて必要な情報が入手でき、個人個人のニーズに応じて活用できる時代になってきた。

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