BEFORE
全国各地の漁師には、前浜(地元の海)のことについては世代を超えた伝統的な知が継承されているが、一般により広範囲にわたる海や自然に関する知識は少ない。昨今の気候変動により生態系が変化している中で、地域で受け継がれてきた伝統的な知の一部が使えなくなりつつある。
AFTER
目の前の海だけではなく、より広い視野で海や自然の変化を把握し、共通の課題や、それらへの対策を共有することによって、地元の海や自然の変化に適応することができる。
日本の海では、10万人以上の漁師たちが日々操業している。地元の海や自然、そして魚については、世代を超えてさまざまな知が継承・蓄積されてきた。しかし、昨今の気候変動にともない、自然環境や海、そして魚を取り巻く状況の変化が顕著になっている。こうした中で、全国各地で仕事に従事する漁師たちの知識と経験を持ち寄り、皆で共有するとともに、共通の課題や適応策に関して意見交換をする動きが活発化している。
CASE.01
漁師がつくった“気候変動・災害マップ”
2020年
北海道から沖縄まで、全国の若手・中堅漁業者の代表70名が、地球の異変によって生じている困りごとやそれらへの対応策を共有するための研修会を開催。気候変動・自然災害マップを作製するとともに、具体的な対応策や経験などが共有され、新しいアイデアなども創出された。水産科学分野の研究者も参加し、科学的な見地からの分析や整理も行われた。取り組みの成果は水産庁による中期的政策(水産基本計画)にも紹介された。
CASE.02
全国青年・女性漁業者交流大会(通称:浜の甲子園)
1995年
全国各地の漁業協同組合の青年部員や女性部員たちが、水産資源の持続的な利用や海洋環境の保全、変動する自然への適応などの課題を克服するために実施している活動を発表。各都道府県魚種別あるいは漁具別の共通の課題のほか、全国的な課題(気候変動やコロナ禍、燃油高騰など)について、全国各地の優良事例が紹介され、その情報をもとに各地域の課題解決に向けた研鑽が進められている。
Sources:
漁師の甲子園「第27回 全国青年・女性漁業者交流大会」レポート(Sakanadia)
Sources:
JF全漁連HP
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