BEFORE
従来と同程度の自然変動が繰り返されることを前提に漁業を操業していたため、近年の急速かつ異質な気候変動に適応できなくなりつつある。
AFTER
過去に経験したことのない海洋環境や生態系の変化を前提とした新しい取り組みにシフトすることで、水産業の持続可能性が高まる。
自然は常に変動するものであり、漁師たちはその変化に柔軟に適応しつつ、長年にわたり国民に水産資源を提供してきた。しかし、昨今の気候変動による海洋環境や生態系の変化は従来とは異質なものであり、これまでとは異なる工夫や取り組みが必要となっている。こうした中、今後もこの変化が続くことを前提としつつ、漁獲対象や漁場の変更、資源保護区の設置など持続可能な水産資源の利用と水産物の安定的な供給の実現に向けた様々な工夫が全国の津々浦々で始まっている。
CASE.01
漁獲対象種の変更によって生まれる新しい食文化
これまで西日本を中心に漁獲・消費されてきたブリ(Seriola quinqueradiata)やサワラ(Scomberomorus niphonius)といった水産資源が、青森県や北海道において大量に漁獲されるようになった。当初は雑魚としてなるべく漁獲を避けるようにしていたが、これらの魚種が漁獲の中心になるにつれ、地域の新しい資源として漁獲の仕方、船上での扱い方、鮮度の保ち方や流通経路などを工夫・獲得していった。その結果、地域に新しい食文化が定着しつつある。
CASE.02
豪雨などの極端気象を前提としたアサリ資源保護区の設置
2018年
福岡県の有明海では、180人ほどの漁業者がアサリ漁業を操業し、資源の増殖と持続可能な利用に向け、漁場の改善や稚貝保護区設置などの工夫を行ってきた。しかし2015年頃から相次ぐようになった豪雨の影響で、漁場の低塩分化や土砂堆積によるへい死が生じ、資源減少が進んだ。これを受けて、2018年からは新たな漁場を分散して保護区にすることで、豪雨発生時にも最低1ヶ所は母貝が生き残れるようにした。また、豪雨で影響を受けやすい場所にある稚貝を、台風シーズン前に安全な場所に移植してリスクを下げる取り組みも実施している。
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