ADAPTATION MEASURE 008

コミュニティが主導する河川環境の保全を通じた防災

BEFORE

河川沿いのコミュニティでは、豪雨などの災害が発生した際に、洪水のリスクにさらされやすい状況にある。特に開発途上国においては、排水設備が十分ではないことや、廃棄物が散乱していることなどが影響し、洪水の被害が拡大する傾向にあった。

AFTER

生態系の活用や河川環境の改善を図ることで、豪雨発生時に洪水のリスクを減らすことができる。また、これらをコミュニティの構成員自らが実践することによって、防災に対する主体性を培うこともできる。

河川沿いのコミュニティは、氾濫などの災害リスクが相対的に高く、とりわけ開発途上国においてこの課題は顕著である。堤防などのインフラが不足していることや、散乱した廃棄物が河川に詰まることなども、局地的な雨に見舞われた際に河川が氾濫しやすい要因となっている。こうした地域において、比較的費用を抑えるかたちで導入できるのが河川環境の保全による適応策であり、具体的には沿岸部への植林や、廃棄物の適切な処理などが挙げられる。また、コミュニティが自ら取り組みやすい活動でもあるため、防災に対する意識の向上を図ることも期待できる。

CASE.01

地域主導の清掃活動を通じた河川の災害リスク軽減

度重なる洪水被害に見舞われていたケララ州ティルヴァナンタプラムで行われた「キリヤール川保護プロジェクト」では、災害リスク軽減のための生態系ベースのアプローチ(EbA)を採用することによって、脆弱性を低減できた。


この地域を流れるキリヤール川は、汚染が進み、水の運搬能力が低下していた。このプロジェクトでは、地元のボランティアらが集まり、川を清掃し、川岸に木を植え、廃棄物の侵入を防ぐ柵を設置するなどの活動を行った。これにより、洪水発生時の氾濫リスクを軽減するだけでなく、防災に対する地元住民の意識と能力向上も実現した。例年大雨によって氾濫していた河川は、2018年の豪雨時にも溢れることがなかった。

CASE.02

地域コミュニティが主導するマングローブの沿岸植林

バングラデシュには多くの河川が流れており、沿岸地域は頻発する河川洪水に対する脆弱性を抱えている。また、塩害の影響などにより沿岸部の耕作可能面積が年々縮小しており、食料安全保障や人々の生活の持続性の面で問題が生じている。

こうした課題に対処すべく、地域のコミュニティが主導する適応プログラムが政府の支援で実施され、洪水時の減災効果が注目されているマングローブの植林を9,650ヘクタールにわたって行った。

マングローブ林には漁場としての機能もあり、漁業の機会を創出することで住民の生計の多様化にも寄与している。

 

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