気候変動に適応する
新しい都市開発コンセプト

ADAPTMENT

SCROLL

世界中の暮らしが
気候変動
脅かされている

01 気候変動に
私たちはいま、
適応しなければ
いけない

生態系は傷ついている

世界各地で
増え続ける自然災害

近年の地球の気候は大きく変動し、歴史上類を見ない豪雨や熱波・干ばつなど、私たちの日常の暮らしを脅かすような大災害が、毎年のように世界各地で頻発しています。
いまも私たちの目の前や世界のどこかで、自然災害によって生活環境を奪われてしまっている人たちがいます。

従来の都市開発は、
変化に適応できるのか?

これまで私たちは豊かな生活のために都市開発を進め、文明を発展させてきました。
しかし、その過程で生態系は著しく破壊され、その結果として気候変動の影響は年を追うごとに加速しています。またこうした開発が、地域の保水力の低下による水害など、災害の原因となっている場合も多くあります。

年々増加する都市での自然災害の被害状況を見れば、従来の都市開発が今後の気候変動に適応できないことは明らかです。私たちは改めて、これからの適応的な都市開発を考え直さなければならない時期に来ているのです。

自然災害大国・日本から、
適応の知恵を世界へ

大陸のプレートの間に位置する島国であり、国土の7割が山地で覆われている日本は、地震、津波、洪水、噴火、台風など、毎年のようにさまざまな自然災害にさらされてきました。
2011年の東日本大震災を覚えている方もいるでしょう。
こうした過酷な環境を相手に、私たち日本人は古来から自然と調和しながら柔軟な方法で災害に適応する知恵を蓄積してきました。

こうした伝統的な知と最新のテクノロジーをかけ合わせ、気候変動に適応するための様々なイノベーションが生み出されてきました。長い歴史の中で日本が培ってきた自然への適応の知恵は、今こそ世界に役立つはずです。

20世紀までの都市は
気候変動を前提としていない

今までの都市のデザインのままでは、気候変動に適応できないでしょう。それは仕方がないことです。なぜならこれまで都市が発展した時期には、気候変動は存在しなかったのですから。私たちはこの数千年間に例のない、新しい気候時代に入ってしまいました。新しい気候への変化とその影響はますます加速するでしょう。これは私たちの新しい宿題です。より自然と調和した形で、これまでの都市をレジリエントに作り替え、これからの都市を適応的に開発する。そんなポジティブな変化を速やかに私たちの時代で実現しましょう。

気候変動に適応する、
新しい都市開発コンセプトとは

これからの都市開発では、従来の先進国と同じような手法を踏襲しても、未来は持続不可能で後悔に満ちたものになってしまうかもしれません。

気候変動がもたらす悪影響が先進国・途上国を問わず人々の生活を脅かしているいま、気候危機から人々の命や安全な暮らし、そして地域の文化を守るレジリエントな都市開発・デザインのコンセプトが求められています。

気候変動や
災害の危機から
人々や地域を守る
レジリエントな
都市
とは

気候変動に
適応した

災害都市・
日本発の
開発コンセプト

ADAPTMENT

ADAPTMENT DESIGNING CITIES ADAPTED TO CLIMATE CHANGE

02 生態系に適応する
都市開発

ADAPTMENTとは?

生態系の単位
流域圏で考える

ADAPTMENTは、これまでのDEVELOPMENTを見直し、地球環境に適応する開発を実現するための新しいデザインコンセプトです。環境に適応するには、生態系のつながりの中にある人々の暮らしを再確認し、関係性を整える必要があります。しかし現在の都市計画の単位は、生態系に寄り添ったものではありません。

そこで都市開発を生態系の単位である流域圏で考え直し、都市を一つの生命体に例えて、気候変動に適応するレジリエントな都市開発を実現する思想がADAPTMENTです。

陸から川、そして海へと至る水循環の単位である流域は、生態系の基本単位であり、洪水・渇水・土砂崩れなどの自然災害や、磯焼け・ナラ枯れ・生物多様性の喪失などの自然界のダメージも流域単位で発生します。

これまでの都市開発では、この流域という生態系の単位を顧みず、その循環をグリッドで分断するかのように、自然環境に人間の生活環境を差し込んできました。その結果、都市の人間環境と自然環境の境界でさまざまな葛藤が生じ、それが「災害」として私たちに襲いかかっているのです。

本来は、私たち人間の生活も自然の生態系の一部のはずです。日本では数百年前から、洪水・津波・高潮などの自然災害から生活空間を保護するバッファーゾーンとして山を活かす治山技術や、沿岸域における防災林などの森林整備技術をはじめ、自然の生態系に適応する暮らしを営む知恵を蓄えてきました。

Illustration source: 「川だけ地形地図」Topographic Map of Rivers Only
Published on May 27, 2014©gridscapes.net (https://www.gridscapes.net/AllRivers)

なぜ都市に災害が起こるのか?

適応は自然と人間の
境界で起こる

これまでの都市開発では、この流域という生態系の単位を顧みず、その循環をグリッドで分断するかのように、自然環境に人間の生活環境を差し込んできました。その結果、都市の人間環境と自然環境の境界でさまざまな葛藤が生じ、それが「災害」として私たちに襲いかかっているのです。

本来は、私たち人間の生活も自然の生態系の一部のはずです。日本では数百年前から、洪水・津波・高潮などの自然災害から生活空間を保護するバッファーゾーンとして山を活かす治山技術や、沿岸域における防災林などの森林整備技術をはじめ、自然の生態系に適応する暮らしを営む知恵を蓄えてきました。

自然環境と人間環境の境界で起こる災害を、局所の問題として対策すれば、ときに生態系が本来持つ強靭性を弱めてしまいます。コンクリートで整備した護岸が新たな土砂崩れの原因になることもあるように、生態系を無視した開発が都市の脆弱性につながってしまうことがあるのです。

流域生態系との調和を図るように、暮らしと自然との境界をリデザインするADAPTMENTは、本来の自然が持つ安定した生態系のシステムを最大限に活かすものであり、時には従来の開発によって失われてしまった生態系のシステムを回復させるものです。
私たちが示す具体的な適応のアプローチは、過去に類を見ない気候変動から人類を守ると同時に、従来の都市開発で起こる環境への負荷を軽減し、気候変動時代の新たな産業創出にもつながるはずです。

自然環境 ADAPTMENT レジリエントな人間環境 with ADAPTMENT 自然環境 自然災害 境界 レジリエントでない人間環境

人と自然の関係を築く新しい持続可能な開発

ADAPTMENTという気候変動に適応した新たな開発コンセプトを取り入れたみなさんの積極的なアクションを、私たちはつねにサポートしたいと考えています。気候変動時代の新たな人と自然の関係を築く持続可能な開発が広がっていくことを私たちは願っています。

ADAPTMENT プロジェクト発起人
太刀川 英輔

03 気候変動適応策を
生物の適応進化から学ぶ

ADAPTMENTの構造

環境に適応進化した
生物の身体と行動に例える

気候変動への適応は、文明社会を持続的に発展させていくために、全人類が取り組むべき大きなイシューです。

気候変動への対策は、緩和策と適応策に分けられることが国際的なコンセンサスとなっています。
このうち地球温暖化の防止を目的とした緩和策は、温室効果ガスの排出抑制や、森林等の吸収作用の保全や強化など、そのアプローチは非常にシンプルです。
一方で気候変動の影響に対処する適応策は、理解が難しいものになりがちです。それは、適応策が防災、資源管理、農業、貧困、食料、安全保障などさまざまな課題が複雑に絡み合うためアプローチは多岐にわたり、全体像を捉えるのが難しいからです。

そこでADAPTMENTでは、気候変動適応策を誰もが理解できるものとして構造化するために、生物の身体構造と行動原理を参照しました。なぜなら生物の身体は環境の変化に適応するように進化したものであり、我々にとって最も身近なレファレンスでもあるからです。

身体と行動の
適応進化

都市をレジリエントにする適応策のコンセプトを羅列してみると、それらは全て私たちの身体と行動の進化に、その構造が現れていることがわかります。これらをADAPTMENTでは、身体の適応進化と行動の適応進化という2つの項目に分けて考えます。私たちが暮らす都市が気候変動という大きな環境の変化にさらされている現在こそ、生物の身体や行動が持つレジリエントなメカニズムから開発デザインを考えることが、適応する都市には不可欠な視点になるはずです。

適応進化の構造

身体の適応進化

都市や生活を守る建築や土木など、ハードウェアとしての都市環境の適応進化を考えてみましょう。
ADAPTMENTの身体の適応進化のパートでは、神経の知覚性、脂肪の冗長性、筋肉の弾力性、血管の循環性、骨の頑強性、細胞の回復性など、生物の身体構造を参考に環境に適応する柔軟な都市の構造を考えます。

身体の構造 神経 細胞 脂肪 血管 筋肉 骨 災害適応の構造 知覚性 回復性 冗長性 循環性 弾力性 頑強性 BODY ADAPTATION 身体の適応

都市の身体の適応進化

BODY ADAPTATION

適応進化の構造

行動の適応進化

市民の行動や文化における防災やコミュニティなど、ソフトウェアとしての都市環境の適応進化を考えてみましょう。
ADAPTMENTの行動の適応進化のパートでは、観察性・記憶性・予測性・移動性・協力性に代表される生物の適応的な行動から、環境に適応する柔軟な文化を築く方法を学びます。

ハブ BEHAVIOR ADAPTATION 行動の適応
人々の行動の適応進化

BEHAVIOR ADAPTATION

04 気候変動適応策を
分類する

適応する領域

気候変動適応策の
環境カテゴリを
統合的にアップデートする

IPCC(気候変動に関する政府間パネル)の報告書などで示される気候変動適応策は、陸・海・川そして人々の4つのカテゴリに分けられており、これが現在の国際的なスタンダードになっています。しかし陸・海・川などの生態系や人々が暮らす都市は相互作用的な関係があり、本来分けて語ることはできません。私たちは災害の専門家などとの議論から、この分類を生かしながら改めて構造化し、都市生活を脅かす災害を人と自然の境界領域に起こる問題として定義します。

陸域 海洋 人々 河川 適応 環境 陸域 海洋 人々 河川 BODY ADAPTATION 身体の適応 BEHAVIOR ADAPTATION 行動の適応 環境

ADAPTMENTがもたらす新しい都市開発

陸域TERRESTRIAL ADAPTMENT

山、森、そして農地など、都市周辺の陸地における気候変動への適応

山、森、そして農地など、都市周辺の陸地における気候変動への適応

これまでの都市開発

生態系を考慮しない
陸地開発

これまでの都市開発では、地域全体の土壌の保水力や土中の生態系などが鑑みられることは稀で、むしろ開発によって事後の新たな災害が誘発されることがありました。

BEFORE

ADAPTMENT

生態系を分断しない
陸地開発

ADAPTMENTでは、計画の最初期から流域圏としての保水力や生態系を分断しない陸地の開発によって、生態系のつながりを保全し、回復することを目指します。

AFTER

ADAPTMENTがもたらす新しい都市開発

河川RIVER ADAPTMENT

河川流域での水害や、川と人の境界で起こる分断などの気候変動への適応

河川流域での水害や、川と人の境界で起こる分断などの気候変動への適応

これまでの都市開発

復元性のない
治水対策

これまでの河川の治水対策は、頑丈なコンクリートを埋め立て、水が溢れないように設計されたものがほとんどで、一定の水量を超えると効果を失ったり、破壊されることがありました。

BEFORE

ADAPTMENT

回復性のある
河川防災

ADAPTMENTでは地域全体で高めた保水力の出口として河川をとらえます。また生態系のつながりを重視し、自然を生かした治水対策を施すことによって、回復性のある河川の防災機能を提供します。

AFTER

ADAPTMENTがもたらす新しい都市開発

海洋SEA ADAPTMENT

高潮や津波などから人を守り、海の生態系ともつながる気候変動への適応

高潮や津波などから人を守り、海の生態系ともつながる気候変動への適応

これまでの都市開発

持続不可能な
海洋生態系との分断

これまでの海洋資源活用は、資源回復を前提とした捕獲量のコントロールなどが十分になされていませんでした。、また沿岸部の護岸においても、生態系のつながりを顧みない埋め立てによって磯焼けが発生するなど生態系がダメージを受けていました。

BEFORE

ADAPTMENT

海洋資源の
保全と共生

ADAPTMENTでは、バッファゾーンとしての禁漁区、人々と海洋環境の中間領域となる干潟や沿岸部の森の保全を重視することで、持続可能な都市に不可欠な資源を長期的に保全し、将来にわたって自然と共生することを目指します。

AFTER

ADAPTMENTがもたらす新しい都市開発

人々HUMAN ADAPTMENT

頑強なだけの都市開発ではなく、人と自然の境界に柔らかさを与える気候変動への適応

頑強なだけの都市開発ではなく、人と自然の境界に柔らかさを与える気候変動への適応

これまでの都市開発

頑強だが脆い
都市構造

これまでの都市開発は、壁や防波堤のように頑強な層を幾重にも張り巡らせることで、ダメージから内側を守る戦略を取ることがほとんどでした。しかし、こうした構造は時にもろく、あるタイミングで一気に壊れてしまうケースも散見され、また耐用年数を過ぎると解体せざるを得ないという問題がありました。

BEFORE

ADAPTMENT

柔軟で回復性のある
都市構造

ADAPTMENTでは、構造物の回復性を重視し、頑強な構造物の外側に柔軟で回復力のある構造をもたらす戦略を取ります。これはまるで骨の周りを筋肉や脂肪、皮膚などが取り囲むことでダメージを防ぐ身体の構造に似ています。

AFTER

ADAPTMENT
チーム